観音寺は、千葉県北西部の流山市南部に位置し、松戸市と境界を接する木地区に所在する。近年、千葉県による区画整理事業が進み、ひと昔前とは全く違った様相に市街化されつつある。その街並のなかの小高い丘に伽藍を構える。
当山は、江戸初期の明暦元年(1655年)に初代住職宥賢上人が開創されたと伝えられていたが、近年発見された庚申塔の板碑(慶安3年/1650年建立)には既に当山の寺号が刻まれていること、さらに、当山所蔵の記録には俊長上人(寛永4年/1627年遷化)が開山とされていることより、江戸時代の始まる前後の開創と考えられる。
当山は、真言宗豊山派に所属し、総本山は奈良県桜井市に所在する長谷寺である。その長谷寺の山号「豊山」の「豊」と「長谷寺」の「谷」から、当山の山号を「豊谷山(ぶこくさん)」と称する。正式には、「真言宗豊山派豊谷山白蓮院観音寺」といい、現在の住職は28世として法燈を継承している。